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リハビリの紹介

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右近式リハ

希望の椅子を語るとき小樽の右近清氏と森照子さんのことははずせません。この二人がいなかったなら希望の椅子は生まれなかったからです。

自転車事故により頚髄の2~5番を損傷し瞬きしかできなかった森さんが8年後には松葉杖で歩けるまでに回復しました。

それを可能にしたのが右近氏が独自に考案した訓練であり、これが「右近式リハビリ」です。(詳細は「立った、ついに歩いた」を参照)現在の希望の椅子の会員のほとんどが彼の指導を受け、在宅リハビリに移行しているのです。

何より在宅訓練の絶対的条件はベッドからの離脱であることは言うまでもありません。ベッドはあくまでも就寝用具であり、日常の生活を椅子で過ごすことにより、呼吸・血圧・脈拍・体温のバイタルが安定して訓練を行なえる基礎体力が着くからです。

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​基礎トレーニング

長期にわたりベッドで過ごしていると知らず知らずの内に身体が固まっていき、特に関節は硬くなります。C損になると肩や腕の可動域も限られますので、それを広げてあげなければなりません。そうしなければトレーニング中の怪我に繋がるからです。また、痙性を取るストレッチも行います。痙性の多くは腹部からきますので、腹部や下肢のこわばりを取る柔軟運動を徹底します。

先ずは柔らかな関節、そしてしなやかな筋肉です。

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体幹トレーニング

ご存知のように脊髄損傷になると体幹が消失してしまいます。これを取り戻すためわざと幅を広くし背もたれを低くして柚木にグリップを付けた特別な椅子を使います。そのグリップに手を縛って座らせて身体を前屈・背屈・更に左右のひねりと回転運動により、身体の中心に芯を打ち込んで体幹を蘇らせるのです。早い方なら数時間で効果が表れます。すぐに効果が表れなくてもものの一週間もしたなら体幹麻痺は克服されています。この椅子こそが会の名称である『希望の椅子』の由来です。

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筋力トレーニング

脊髄を損傷すると命令が伝わらなくなった部分の筋肉は下肢はもとより、C損なら指の先までが落ちてきます。こういう場合は器械が自動的やってくれる筋トレマシーンではなく、微かに残された筋力を自ら集中して攻める筋力強化訓練を行ないます。C損T損に限らず、立たせることのない下肢筋肉の減衰は加速度的に進行していきますので、徹底的に立たせるのが右近式リハの大きな特徴であり目的でもあるのです。立つことによって躯体の全体重は下肢に圧し掛かるため、消化器官と排泄器官が刺激されて重度排泄障害も改善されるのです。他のどんな訓練を何年やったところで、立たせながらの運動に勝る訓練は絶対に有り得ないのです。

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神経伝達トレーニング

脊髄を損傷すると動かそうとする脳からの命令がその部位に届かなくなります。もちろん動くところと動かないところは受傷番数によって違ってきますが、神経回路が遮断されている事は同じです。、神経伝達トレーニングというのは、例えば人指し指を動かそうとする時、他の4本の指を包帯で縛って隠し、動かそうとする人指し指に全神経を集中させ『動け! 動け!』 と何百回何千回も繰り返し脳から指令を発しさせます。そうすることによって神経に刺激を与えて活性化させる訓練です。世界のトップに位置する我が国の再生医療に取り組む科学者も『何より大切なのは絶えず命令を発して神経に刺激を与えること』 と講演会、シンポジウムでも必ず言っています。

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立位・歩行トレーニング

歩くには、先ずその前に立ち訓練を徹底的に行います。足を一歩前に出すには『腰を入れ』なければならず『ガクリと抜ける膝』を防がなければなりません。歩く、ということは姿勢を正して腰を入れ、抜けない膝が躯体をしっかり受け取めている、ということです。これはヒトだけが成し遂げた直立二足歩行です。そのためあらゆる器具と用具を使って立ちと腰入れ、膝抜け防止訓練を行なっているのです。歩行器で足が30Cm前に出た、ということは脳の指令が足に伝達されて一歩 歩いたということです。ですから『完全麻痺』でも『下肢機能全廃』でもなく、諦めて訓練を一切やらなかったからこそ完全麻痺となるのです。かつて我が国脊損リハの神様と言われた先生は「私は今まで完全麻痺の方は見たことがない」と言っていました。また、再生医科学の分野で世界をリードしている我が国の整外臨床医にして脊髄再生科学者である教授は「100本の神経で足が動いているのではなく、仮に5~6本の神経が繋がったならジョギング出来るまでに回復する」と言っています。

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